(公演名) METLV 「カルメン」
(日 時) 2024年3月9日(土)11:00〜
(会 場) kino cinema 神戸国際 シアター1
(演 目) ビゼー/カルメン
(出 演) カルメン:アイグル・アクメトチナ(MS)
ドン・ホセ:ピョートル・ベチャワ(T)
ミカエラ:エンジェル・ブルー(S)
エスカミーリョ:カイル・ケテルセン(BsBr)
スニガ:ウェイ・ウー(Bs)
フランスキータ:シドニー・マンカソーラ(S)
メルセデス:プリアナ・ハンター(MS)
指揮:ダニエレ・ルスティオーニ
演出:キャリー・クラックネル
今回の「カルメン」は新演出によるもの。どういう演出かというと、何と、舞台は現代のアメリカの都市。通りではキックボードに乗って遊んでいるし、ギャル?達はスマホを持ってニュースを読んだり、エスカミーリョと2ショットで自撮りしたり、むっちゃ現代です。何とも斬新な…と思ったのですが、それでも案外と違和感なく観ることができたのは、この作品が持つテーマ自体が普遍的なもので、いつの時代でも通用するものだから、なのでしょう。誰もが心の中に不安とかを抱え込んでいて、それから逃れるために「自由」を求めたり、誰かと繋がっていたいと思ったり、仲間と一緒にいたいと思ったり、そういう葛藤の中で繰り広げられるドラマというものは、いつの時代に、どこにいっても一緒なのかもしれません。そんなことを思った演出でした。
そして今回の目玉は何といっても、カルメン役のアクメトチナさん。最初の登場のシーンからもう圧倒的な存在感を放っていて、とにかくその幅の広さというか、低音も高音も自在に操る表現豊かな声は、圧巻というしかないです。まだ27歳という若さもあって、その美貌がまたたまらないです。2幕ではノリノリで踊っていましたし、新時代のカルメン歌いと言われるのも頷けます。私の中では、もう10年以上前のガランチャさんのカルメンが印象的ではあったのですが、それをも超える、まさに逸材と言っていいのでしょうね。でも、終幕後に、皆を集めて写真を撮ろう!とはしゃいでいる姿はやはり、現在の若者という感じでした。そこがまたチャーミングで、今後も楽しみな歌手だなと思います。
また、ベチャワさんはすっかりMETのレギュラーですが、ホセの役は初めてだそう。ホセといえば、かつてはアラーニャさんという印象もあるのですが、ベチャワさんの細く高音を綺麗に響かせる声は、アラーニャさんにも負けずに、ホセ向き?だと思います。最後、カルメンを撲殺!するのは、これも新演出なのでしょうが、やはり斬新な感じがしました。
さらにブルーさんは、前回のライブビューイングではMCをしていて、その素も素直な印象だったのですが、歌唱もまた素直ですね。すごく伸びやかな声で、ミカエラの美しさと強さを存分に表現していました。
全体に、本当にアメリカンなテイストのカルメンでしたが、私は素晴らしい公演だったと思います。
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