(公演名) ジェズアルド・シックス “WISHING TREE/ウィシング・トゥリー“
(日 時) 2024年11月30日(土)14:00〜
(会 場) 兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院 小ホール
(演 目) ウィリアム・バード/この甘く美しい5月に
デイヴィッド・ベドナル/沖に漕ぎ出し、網をおろして漁をしなさい
伝承曲:ヴォーン・ウィリアムズ編/茂みといばら
ジョン・タヴナー/葬送のイコス
作曲者不詳(15世紀)/この上なく美しい薔薇が
クレメンス・ノン・パパ/おおマリアよ、春の薔薇
ジョビー・タルボット/ウィッシング・トゥリー
伝承曲:ゴードン・ラングフォード編/オークとアッシュ
伝承曲:ジェームズ・ウィットボーン編/澄みわたる空の雲雀
ルカ・マレンツィオ/光がなくて生きていけるだろうか
カルロ・ジェズアルド/幸せな春よ
アルヴォ・ペルト/明けの明星
アリソン・ウィリス/風の警告
ジャック・アルカデルト/白く優しい白鳥
オーランド・ギボンズ/銀色の白鳥
オワイン・パーク/あなたの光を送って
エレノア・デイリー/グランドマザー・ムーン
(アンコール)
オワイン・パーク/おお喜ばしき光
ジングル・ベル
英国で人気を誇るアカペラ・グループが初来日!というので、これはぜひ、と思い出かけてきました。
噂に違いなく、本当に素晴らしいアンサンブルでした。カウンター2人にテノール2人、バリトンとバスが1人ずつという6人編成のグループですが、このバランスがたまらなくいいですね。カウンターのすぅっと上に抜けていくような伸びやかな響き、テノールのどこかまろやかな感じの響き、低音はずっしりと地に響くような感じで、それぞれの響きが織りなすハーモニーが実にバランスよくて心地よいです。ここのホールの響き方というのもあるのかもしれませんが、ごく自然な感じですぅっと声が響き渡ってくるようで、彼らの声の温もりというものが心に伝わってくるような感じもします。
以下、いくつか印象に残った曲について書いてみます。
自分の知っている作曲家、バードやクレメンス・ノン・パパ、ジェズアルド、ペルトなどの曲はつい、聴き入ってしまいます。特にジェズアルドの曲は、予定されていた曲から変更されたようですが、ジェズアルドらしからぬ?美しい曲でした。もっと不協和音ばかりかと思っていたら、そうではなかったので、ちょっとがっかり?です。その代わり、ペルトの曲がすごく静かな瞑想的な感じで、静けさを表す彼らの声はピアニッシモでも凛とした響きがあって、ぞくっとしてしまいました。
そして、ウィリスの「風の警告」という曲が一番印象的でした。全員が舞台全体に丸く広がって立ち、そこから風のぴゅ〜って音を息で表して、そこから何人かずつ内側に向き直って歌唱を始めていき、次第に盛り上がったかと思うと、最後はまた静かに風が吹いているというふうに終わっていく…と言葉ではなかなかうまく表現できないのですが、不思議な感じの中にも印象に残る曲でした。
前半最後の「オークとアッシュ」は、何か聞いたことがあるような…と思っていたら、「大きな古時計」と同じようなメロディがあるのですね、懐かしい感じがして和みました。
パークの曲はアンコールも含めて2曲でしたが、どちらもカウンターのソロがあるのですね。ジェームズさんがどちらもソロでしたが、空気の中に溶け込んでいくような透き通ったとてもクリアな響きが素敵でした。アンコール直前は、歌う気満々な感じが見て取れて、ちょっとチャーミングでした。
アンコールのジングルベルは、彼らの手にかかるとこの曲もこんなにもお洒落で上品になるのかということを思い知らされました。これからのシーズン、彼らのこのような演奏でクリスマス・キャロルを聴いてみたいものです。
実は今回、私はバックステージの席に座って聴いていたのですが、ちょうど演奏者の後ろになるからどうかなと思っていたのですが、全然そのような心配は必要ありませんでした。このホール自体も、結構音が上に昇っていくような感じで、また演奏者と客との距離も近いですから、どこか一体感のようなものを感じながら、ずっと聴き惚れていたいと思うのでした…
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