(日 時) 2024年2月23日(金)10:40〜
(会 場) kino cinema 神戸国際 シアター1
(演 目) ヴェルディ/ナブッコ
(出 演) ナブッコ:ジョージ・ギャグニッザ(Br)
アビガイッレ:リュドミラ・モナスティルスカ(S)
フェネーナ:マリア・バラコーワ(MS)
イズマエーレ:ソクジョン・ベク(T)
指揮:ダニエレ・カッレガーリ
演出:エライジャ・モシンスキー
今季のMETライブビューイングは、前作までは現代ものばかりでしたが、今作からは古典ものになります。馴染みのあるものが並んでいて、ちょっとホッと(?)します。
ナブッコは合唱が素敵という印象があるのですが、今回もやはりそうでした。METの合唱団は、合唱団単独でも十分に力量を示せるものと思っているのですが、その期待に十分すぎるくらいに応えてくれていました。冒頭から始まる合唱の力強さで圧倒されて、ぐいと舞台の世界に引きずり込まれるようです。画面では合唱団員一人一人の顔をアップで映し出されたりするのですが、本当に、彼らが主役であるかのように実に生き生きとした表情で歌っているのですよね。1人ずつの実力がしっかりとあるからこそ、それが全体となった時にものすごい力となって、合唱音楽を盛り立ててくれるのでしょう。だからこそ、4幕での有名な「行け、我が思いよ」は、ユニゾンならではの力強さ、説得力を持って訴えかけてくるものがあるようで、思わず目頭が熱くなってしまいました。
もちろん、合唱だけでなくてソロの方々も素敵です。特にモナスティルスカさんのアビガイッレは圧巻ですね。彼女もハマり役だとおっしゃっていましたが、本当に、ハマり役ならではの力を見せつけてくれます。高音と低音を行ったり来たりするようなものでも、何でもないように普通な感じで歌っているのがすごいです。権力への欲望をむき出しにするような太く力強い歌唱が、すごく印象的です。
対してバラコーワさんのフェネーナは、どちらかというとやや丸い感じの音色でしょうか。心優しい女性というイメージにぴったりな感じにソフトで、相手を包み込むような雰囲気を持っているような印象がします。
ヴェルディの歌劇は、バリトンに歌わせるのが多い、というようなことを指揮のカッレガーリさんが仰っていましたが、そのとおりに、ナブッコのギャグニッザさんも素敵ですね。前半は権力欲に満ちた、ややクセのある感じなのが、後半になり改心した後の慈悲に満ちた感じに変化するのはさすがです。これだけたっぷりと歌い上げてくれるのなら、ヴェルディもきっと満足してくれることでしょう。
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