2024年2月20日火曜日

連合会近畿地域協議会の労務管理研修会

(日 時) 2024年2月19日(月)10:00~16:00

(会 場) TKPガーデンシティ大阪リバーサイドホテル6F

(テーマ) 第一部 「現代型の労務トラブルの予防と対応」

      第二部 「働き方の未来 ー 政策と実務の方向性」


(講 師) 第一部 弁護士 西面将樹氏

      第二部 独立行政法人労働政策研究・研修機構 研究所長 濱口桂一郎氏


 先日の支部の研修に続いて、今度は連合会の、近畿地域の労務管理研修会に参加してきました。大阪での一日がかりの研修で、やはり近畿の全域から多くの先生方が参加していらっしゃいました。


 午前中は弁護士の西面先生のお話で、労務トラブル=解雇に関するトラブルを避けるための法的理論についての解説でした。「辞職」と「退職」、「解雇」を区別するところから始まって、具体的な相談事例を挙げながら、この場合にはこういう争いになるから、こう理論武装しておく、というような内容で、先生のお話が非常に分かりやすくて、とても楽しく聞くことができました。予防策としては、とにかく就業規則にトラブルになるであろうことを予想して、先回りして定めておくこと、ということでしょうか。


 特に興味深かったのは、一番最後でちょっと時間が足らずに駆け足で話してくださった部分、普通解雇の最新理論についてです。労基法では、解雇権濫用の法理が定められており、客観的合理的理由と社会通念上の相当性がないと解雇は無効となるとされているわけですが、これまでは、軽い懲戒処分から徐々に重い懲戒処分を行なっていき、それらポイントが貯まると最終的に解雇をすることができる、というイエローカード理論が主流だったのです。ところが、新い考え方としては、中心的な債務が不履行であることと、今後もそれが履行される可能性が低いことを乗じた結果が大きいほど、解雇は認められやすくなる、という離婚理論というものがある、というのです。そのために、労働者に債務を与えて指導を行い、それができないというのであれば債務不履行と捉え、そうした事案を集めておいて、そして、これ以上雇用契約を続けることが会社にとって酷であることになったら解雇が可能となる、というわけです。この話を聞いて、ほぉ、と何か目から鱗が落ちるような感じでした。さすが、弁護士の先生のお話は法的なロジックの説明が明快ですね。大いに納得できました。


 午後は濱口先生のお話。ちょうど、この研修会の前後に私、たまたま濱口先生の「ジョブ型雇用社会とは何か」という著書を読んでいて、研修会でもその内容からのお話が大半だったので、ちょうど本で読んだことのおさらいにもなり、よかったです。また、本の内容に加えて、メンタルヘルスやテレワーク、フリーランス、AIなどの問題についても触れられていました。


 午前中のお話と関連した部分ですと、やはり解雇をめぐる問題についての話が印象的です。ジョブ型ではなく、メンバーシップ型であるがゆえに解雇の問題がおかしなことになっているというのです。ジョブ型であれば本来、ジョブがないから整理解雇するというのは当然なことであり、ジョブもないのに雇用を続けるというのはおかしなこと、また、「できる」と言ったはずのスキルがないから解雇するというのもジョブ型では当然のことであるが、メンバーシップ型ではスキルがないなら、「できる」ように育てるべきで、スキルというよりは「態度」が悪いなら解雇してよいということになっている、ということが実情であると。解雇権濫用の法理というものは、本来、ジョブ型であるならば当然に解雇できるというものを、例外的に解雇できない、とするための理屈のはずなのですが、それが日本ではメンバーシップ型のため、その例外的なものが原則である!としてきたから、現実的には金銭解決している解雇の問題もきちんと整理できないでいるというのです。


 昨今、ジョブ型という言葉がやたらと聞かれていますが、果たしてどこまで実現できるのだろうか、と思います。私たちのところでも、一部ジョブ型を導入した!と宣伝していましたが、実際、そのジョブディスクリプションとやらを見てみると、え、これがジョブディスクリプションなの?と思ってしまうようなもの。普通の業務案内と一緒じゃないの…? それはともかく、欧米諸国と同じようなジョブ型というものはおそらく、日本では馴染まないのではないかと思えてならないのです。だからこそ、日本ならではのまた違ったジョブ型というものが構築できればよいのですが、私などにはまだよく分からないです…


 …というようなことなど、色々と考えさせられるお話でした。自分なりにもまた色々と本などを読んで勉強したいと思います。


 昼食のお弁当も美味しかったですし(^^;、有意義な一日でした。

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