(公演名) シネマ歌舞伎「ぢいさん ばあさん」
(日 時) 2025年1月4日(土)10:15〜
(会 場) kino cinema 神戸国際 シアター2
(演 目) ぢいさん ばあさん
(出 演) 美濃部伊織:片岡仁左衛門
伊織妻 るん:坂東玉三郎
宮重久弥:中村芝翫
久弥妻 きく:片岡孝太郎
石井民之進:片岡市蔵
戸谷主税:大谷桂三
山田恵助:市川齊入
柳原小兵衛:坂東秀調
弟 宮重久右衛門:中村鴈治郎
下嶋甚右衛門:中村勘三郎 他
今月の月イチ歌舞伎は「ぢいさん ばあさん」。最初はあまり関心も特になかったのですが、その予告編を観て、面白そうだと思い直して、観てきましアタ。
結果的には、思い直して観てきてよかったです。何が良いと言うて、仁左衛門さんと玉三郎さんとの共演が素敵すぎるのです。仁左衛門さんはぢいさんになっても、どこかお茶目な感じたっぷりのハンサムさには変わりないですし、玉三郎さんはばあさんになっても、凛とした美しさのままだという、それだけで見惚れてしまいます。お2人ともレジェンドですからね、存在感自体が違うのですが、芸歴の長いお2人が息もぴったりと合わせてお互いの役になりきって演じているので、より一層、そのエレガントさみたいなものが印象深いです。
元々は森鴎外の原作を宇野信夫が作・演出して歌舞伎舞台化したものとのことで、おしどり夫婦が37年もの間、離れ離れになって、そして再会を果たすというお話。それだけと言ってしまえばそれだけなのですが、そこで交わされる会話というのが、聞いていて、どこか可愛らしくもありながら、お互いのことを思いやる気持ちに溢れているようで、それが私たちの気持ちをほっこりとしたものにさせてくれるのですね。派手な立ち回りとかはなく、シンプルな作りですが、観ていてとても安心感を与えてくれるような、そのような作品だと思います。
映像自体は、平成22年2月の公演のものらしいですが、今は亡き中村勘三郎さんのお姿も拝むことができたのも嬉しかったです。敵役ともいうべき下嶋の役を、憎たらしいけれど、どこか憎みきれないような、そんなふうに演じていらしたように思います。こういうイヤなやつって、結構、普通にいるよなぁ、と思いながら観ていました。
そして、若い甥の役を、当時の橋之助さんが演じているのも、おぉ!と思いました。伊織とるんの夫妻の様子を見ながら、彼ら若い2人もそのようになりたいと言っているのが、あるべき夫婦の像というものはこういうふうにして伝えられて継承していくのだろうなと思えて、話が未来へと繋がっていくような、そんな明るい気持ちにもさせてくれるように感じました。
普段はあまり歌舞伎を観ないのですが、たまにはいいものですね。
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