(公演名) METLV 「トスカ」
(日 時) 2025年1月26日(土)10:15〜
(会 場) kino cinema 神戸国際 シアター1
(演 目) プッチーニ/トスカ
(出 演) フローリア・トスカ:リーゼ・ダーヴィドセン(S)
マリオ・カヴァラドッシ:フレディ・デ・トマーゾ(T)
スカルピア:クイン・ケルシー(Br)
堂守:パトリック・カルフィッツィ(BsBr)
指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
昨シーズンの「運命の力」でレオノーラを見事に演じ切っていたリーゼさんが、今シーズンは2作品に出演されます。そのうちの一つがこの「トスカ」。圧巻というのはまさにこのことかというくらい、魅せられました。そのずば抜けた歌唱力と演技力、それに美貌も加わって、周りを完全に圧倒しているのです。存在感たっぷりのオーラを出しまくっていて、特に「歌に生き 恋に生き」はもう涙なくしては聴けないくらいに素晴らしいものでした。でも、第1幕では、カヴァラドッシとのやり取りの中で、絵画のモデルの目を黒目にしたろか、と筆を構えるような仕草を見せて、どこかお茶目な感じも演じていたりして、リーゼさんのチャーミングさに触れたような気もします。かと思えば、第2幕でのスカルピアとの真っ向勝負での鬼気迫るような迫真のやり取り、その演じ分けというか、話の展開に応じた表情の変化が絶妙で、素敵です。本当に、圧倒されっぱなしという印象です。
一方で、ケルシーさんのスカルピアが、これまた最高!な出来でした。この役はやはり、二枚目な人が演じるよりも、彼くらいに卑しい感じで演じてくれると、ぐっと引き込まれるものがありますね。第2幕でのトスカとのやり取りは、リーゼさんのオーラに負けないくらいに、卑しいオーラたっぷりな感じで、憎々しいスカルピアという役をしっかりと演じ切っていました。第1幕の「行け、トスカ」など、芯のある太い声を響かせて、ゾッとするくらいに迫力がありました。
また、カヴァラドッシのトマーゾさんは今回がMETデビューなのだそうですが、そう思えないくらいに堂々として立派なものでした。すごく自然な感じで高音域もすっと歌っていて、安定感があるので、聴く側も安心して聴くことができます。圧倒的なオーラのリーゼさんとも対等互角に演じ切っていて、すごいなと思います。第3幕の「星は光りぬ」は、こちらもだいぶ感動が込み上がってきているような状態なこともあって、もうボロ泣きしてしまいました。。
さらに、舞台上のセットとかもとってもクラシカルな雰囲気たっぷりで、時代を感じさせてくれて、それがまた歌手の皆さんの歌唱と演技に、より厚みを加えているような気もしました。スカルピアの執務室など、本当に重苦しいような重厚さたっぷりな雰囲気で、まさに「悪」の巣窟?という感じに満ちていました。。
それにしても、これだけ豪華なキャストによる「トスカ」をこうして味わうことができて、素敵なひと時を過ごすことができました。よかったぁ。
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