2024年2月16日金曜日

支部の研修を受けてきました

 支部の研修会に初めて参加してきました。ちょっとドキドキな感じでしたけれど、参加者も結構多くて、その熱気に圧倒されてきました。


 内容は、外国人の技能実習制度と特定技能制度の改正についてのお話。技能実習制度については厚生労働省の方が、特定技能制度については入管庁の方がそれぞれ話してくださいました。


 この2つの制度、似ているようで全く別物なのですよね。今まであまり意識したことがなかったのですが、今回改めてお話を聞いて、そのことを知りました。すなわち、


○技能実習制度とは

 国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本で一定期間受け入れて、OJTを通じて技能に彼らに習得させて、彼らが帰国後にその技能を活かしてもらうための制度。

○特定技能制度とは

 人手不足への対応として、一定の分野(特定産業分野)に限り、即戦力となる外国人を受け入れるために、在留資格「特定技能1号」及び「特定技能2号」を創設。


…ということ。技能実習はこちらから外国人に教えて彼らを帰すもの、特定技能は人材確保のために外国人を雇い入れるためのもの、ということです。そのことをふまえて、それぞれの制度の現状と、今後の改正についての説明がありました。


以下、そのメモノート(というか、資料からの抜書き…)です。



——————————

(1)制度見直しの理由

・技能実習制度は、上記のように国際貢献を目的として設けられた制度であるが、実際のところ、企業で受け入れられた外国人は、技能習得というよりは人手不足対策のために雇われていたりして、特定技能制度と混同されていることが非常に多い。

・そのような現状から、また、技能実習制度も特定技能制度もその法律の条文上、施行後5年又は2年経過した後に検討を加えて所要の措置を講じるとされていることもあり、両制度の見直しを行うことになった。


(2)見直しにあたっての基本的な考え方

① 見直しにあたっての視点

・外国人の人権保護

・外国人のキャリアアップ

・安全安心、共生社会


② 見直しの方向性

・技能実習制度を人材確保と人材育成を目的とする新たな制度とし、実態に即した見直しを行う。

・外国人材に我が国が選ばれるよう、技能・知識を段階的に向上させその結果を客観的に確認できる仕組みを設けることでキャリアパスを明確化し、新たな制度から特定技能制度への円滑な意向を図る。

・人権保護の観点から、一定要件のもとで本人意向の転籍を認めるとともに、監理団体等の要件厳格化や関係機関の役割の明確化等の措置を講じる。

・日本語能力を段階的に向上させる仕組みの構築や受入れ環境整備の取組により、共生社会の実現を目指す。


(3)見直した結果の対応

ⅰ 総論

・現行の技能実習制度を実態に即して発展的に解消し、人手不足分野における人材確保及び人材育成を目的とする育成就労制度を創設。

・特定技能制度については、適正化を図った上で存続。


ⅱ 外国人の人材確保

・受入れ対象分野は特定産業分野(12分野)に限定して設定。

・受入れ見込み数は対象分野ごとに設定し、受入れ上限数として運用。

・見込み数の設定のあり方については、政府が判断。


ⅲ 外国人の人材育成

・人材育成について、基本的に3年間の就労を通じた育成期間において特定技能1号の技能水準の人材を育成。業務区分の中で主たる技能を定め、計画的に育成・評価。

・人材育成の評価方法については、以下の試験合格等を要件とする。

 ・就労開始前:日本語能力A1相当以上の試験合格or相当する日本語講習を受講

 ・特定技能1号移行時:技能検定試験3級or特定技能1号評価試験合格

            +日本語能力A2相当以上の試験合格

 ・特定技能ⅱ号移行時:特定技能ⅱ号評価試験合格

            日本語能力B1相当以上の試験合格


ⅳ 外国人の人権保護・労働者としての権利性の向上

・「やむを得ない事情がある場合」の転籍の範囲を拡大・明確化するとともに手続きを柔軟化。現行制度下においても速やかに運用改善を図る。

 なお、「この会社はイヤだ!」というのは、「やむを得ない事情がある場合」というわけではなく、個別に判断することになる。

・上記以外の場合は、3年間は一つの受入れ期間での鐘楼が効果的であり望ましいものの、以下を満たす場合に同一業務区分内に限り本人意向による転籍を認める。異なる分野への転籍は認められない。

ア 同一の機関において就労した期間が一定の期間(分野ごとに1年〜2年)を超えている

イ 技能検定試験基礎級等、一定水準以上の日本語能力に係る試験に合格

ウ 転籍先が、適切であると認められる一定の要件を満たす

  (企業規模は要件とされていない)

・転籍前の受け入れ機関が支出した初期費用等について、受入れてすぐに転籍されて損した、ということを防ぐため、正当な補償を受けられるような仕組みを検討。

・転籍の仲介状況等に係る情報を把握し、不法就労助長罪の法定刑を引き上げ、適切な取り締まりを行う。当面、民間の職業紹介事業者の関与は認めない。


ⅴ 関係機関のあり方

・監理支援機関について、受入れ機関と密接な関係を有する役職員の監理への関与を制限し、外部監査人の設置を義務化して独立性・中立性を担保する。職員配置や財政関係がしっかりしていることも要件とする。

・特定技能外国人の支援業務の委託先を登録支援機関に限定する。悪質なものは排除する。

・受入れ機関の要件を適正化し、適正な受け入れに必要な方策を講ずる。



 以上の説明を聞いて、外国人を雇用する時にはどのようなことに留意すべきなのかを自分なりに考えてみました。


・育成就労制度で外国人を雇い入れた場合、制度の趣旨が人材確保に加えて人材育成にあることから、原則3年とされる期間の間に、日本語も含めて技能を高めることができるよう、会社としてもその育成することに注力すること。

・3年の期限を経過後、特定技能1号として認められれば、5年間延長できる上に、さらに特定技能2号に認められれば、期間をずっと更新していくこともできるようになるのであるから、会社としても支援を継続していくことが必要であること。

・転籍も可能となることから、つい、育成・支援を怠りがちになるおそれはあるが、それは日本人であっても同様なのであるから、広い意味で人材を育成することは我が国の経済活動の活性化に必要であるという見地から、外国人の能力育成に力を入れること。


 新制度が正式に決定して、施行された後、多くの外国人が日本の経済活動の担い手となる貴重な人財となっていくようにしたいものだと思います。。



0 件のコメント:

コメントを投稿